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最新の医学専門誌に報告された、 がん・栄養・環境リスクに関する疫学研究を紹介します。

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韓国男性の循環器疾患に対する、喫煙と血清総コレステロール値の影響。



韓国の男性喫煙者は、虚血性心疾患のリスクが2.2倍、脳卒中のリスクが1.6倍高く、喫煙によるリスクの上昇は、血清総コレステロール値が高い集団でも低い集団でも同じように認められた。韓国延世大学のJeeらによるこの報告は、Journal of the American Medical Associationの1999年12月8日号に掲載された。

著者らは、韓国の公務員・教師とその家族のための医療保険組合に加入する35-59歳の男性106,745人を対象に、前向きコホート研究を行った。この医療保険組合は韓国人口の11%をカバーし、喫煙状況の問診や血清総コレステロール値の測定を含む健康診断を2年に1回実施している。研究の対象者は、1990年と92年の2回の健康診断を受診しており、血清総コレステロール値には2回の測定の平均値を用いた。1993年1月から98年12月まで6年間の追跡調査を行い、虚血性心疾患と脳卒中等の罹患と死亡を、病院の退院時記録と死亡診断書に基づいて確認した。

対象者に占める現在喫煙者は58%、喫煙中断者は21%、非喫煙者も21%だった。血清総コレステロール値は、200mg/dl未満の者が60%、200-239mg/dlが31%、240mg/dl以上が9%だった。追跡調査期間に罹患または死亡した虚血性心疾患は1006例、脳卒中は1364例、この二つに突然死等を含めた循環器疾患全体では3086例だった。

非喫煙者に対する現在喫煙者のリスクは、虚血性心疾患では2.2倍、脳卒中では1.6倍、循環器疾患全体では1.6倍に上昇していた。虚血性心疾患でも脳卒中でも、一日喫煙本数や喫煙年数が増加するにつれて、リスクも上昇していた。一方、血清総コレステロールの正常値(200mg/dl未満)に対する高値(240mg/dl以上)のリスクは、虚血性心疾患では2.1倍、脳卒中では1.3倍、循環器疾患全体では1.6倍に上昇していた。

喫煙によるリスクの上昇が、血清総コレステロールのレベルによって変化するかどうかを調べるために、対象者を血清総コレステロール値によって4グループに分け、それぞれの群ごとに喫煙の影響を検討した。その結果、血清総コレステロール値が高い集団でも低い集団でも、喫煙による虚血性心疾患や脳卒中のリスクは、同じように上昇していた。血清総コレステロールが最低(171mg/dl未満)の集団では、非喫煙者に対する現在喫煙者のリスクの上昇は、虚血性心疾患では3.3倍、脳卒中では1.6倍だった。

著者らによれば、血清総コレステロールが相対的に低い集団(日本・中国・プエルトリコ)におけるこれまでの研究では、喫煙と虚血性心疾患の関連について結果が一致しなかった。しかし今回の研究によって、血清総コレステロールレベルの低い集団でも、喫煙が虚血性心疾患や脳卒中のリスクを上げることが明確に示されたと述べている。また、今回の対象者は韓国の中産階級であり、一般住民より健康度が高い可能性はあるものの、研究の全体的な結果は東アジアの他の集団にもあてはまるだろうと議論している。

この研究では、喫煙と血清総コレステロール以外の要因として、血糖・血圧・肥満度・飲酒状況を健康診断の際に測定・問診しており、データ解析にあたっても統計的な補正が行われている。しかし(アルコール以外の)食品や栄養素の摂取については調査されていないようであり、これらの要因の影響が考慮されていないのは問題点である。

この研究の特色は、1)米国と比べて血清総コレステロールレベルがかなり低いアジアの集団を対象に、2)男性だけで10万人を超える大規模コホート研究を行い、3)喫煙による循環器疾患リスクの上昇が、(すでに多くの報告がある)血清総コレステロール値の高い集団だけではなく、(報告の少ない)低い集団にも同じように認められること(つまり、喫煙と血清総コレステロールに相互作用がないこと)を示した点にある。アジアからの特徴的なデータを、米国の研究者の関心にも応えるような形で解析し報告したことが、米国医師会のジャーナルにこの論文が掲載された一因と思われる。

近い将来、同じグループから、1)欧米の先進国と比べて喫煙率がかなり高いアジアの集団を対象に、2)男性だけで10万人を超える大規模コホート研究を行い、3)喫煙によるがんリスクの上昇が、飲酒状態によってどう変わるかを分析したような研究が、報告されてくることだろう。

研究デザイン 前向きコホート研究。

出典 Jee SH, et al. Smoking and atherosclerotic cardiovascular disease in men with low levels of serum cholesterol: The Korea Medical Insurance Corporation Study. Journal of the American Medical Association 1999;282:2149-55.


上の論文が掲載されたJournal of the American Medical Associationの12月8日号には、経口避妊薬の認可プロセスの問題点を中心に日本の女性の健康問題を解説した、山形大学公衆衛生学教室大学院生の後藤あや氏らの論説が掲載されているので、あわせて紹介したい。

Goto A, et al. Oral contraceptives and women's health in Japan. Journal of the American Medical Association 1999;282:2173-7.